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ドモチェフスキー


□ 渋さが憎い大人の魅力

ドモチェフスキーは臨時セーフガードである。そして渋い。 BLAME! 主要キャラクターの多くは外見的年齢が 20 代だが、ドモチェフスキーは一人だけ 30 代という感じである。大人の魅力という奴を醸し出している。

今流行りのちょいワル親父、と言ってしまうのはドモチェフスキーとって失礼だろうが、雰囲気は伝わる。

個人的な感想としては福山雅治に雰囲気が似ている。気がする。目の錯覚か?

□ 人間臭さ

発砲するのが好きなドモチェフスキーだが、珪素生物のプセル(細身の女性形態)に対する攻撃をためらう。そこにいるのは、人間的な葛藤を抱えた一人の男ともいえるだろうが、同時に、期待された性能を発揮しない不良セーフガードでもある。

ドモチェフスキーは実に人間的な感情を持っていることが、行動の端々からよみとれる。イコも臨時セーフガードであるが、セーフガードとしての任務に忠実で性格は機械的だ。

ドモチェフスキーの行動はセーフガードとして不完全体であることを示唆している。

非公式構造体は珪素生物侵入によって臨時セーフガードを生成した。しかしそれも珪素生物の介入によって停止された。最初に製造されたイコは恐らく臨時セーフガードとしての機能を全て備えている。しかし、その後に作られていたドモチェフスキーは、セーフガードとしての行動基準などのインストールが完全に終わらないままに基底現実へと送り込まれているのではないだろうか。

□ イコとの関係

イコも、ドモチェフスキーと同時に生成された臨時セーフガードだ。霧亥とシボが遭遇した時には幽霊の姿になっていた。あの姿が昔友人宅で見たマリオの敵キャラに見えて仕方がない。

そんなゴーストイコであるが、本来の姿は少年である。実体ボディを持っていたときのイコとドモチェフスキーはまるで親子程に年が離れているように見える。

外見の違いは何のためにあるのか。おそらく、セーフガードでも能力の違うバージョンが幾つかあるはずだ。それぞれの能力に応じた分かりやすい姿をしているのではないだろうか。現在のソフトウェアのアイコンのようなものだと考えて欲しい。

ドモチェフスキーとイコは、本来もっと多くのメンバーによって構成されるチームの部分だろう。彼らは、優秀な機械言語の専門家である珪素生物にシステムを止められたせいで、仲間が増えない。というわけで、あの二人のコンビはまさに臨時の構成である。それでもそれ相応に珪素生物に対処してきたのだから、立派だ。

□ 自己保存を優先

セーフガードの項目で、セーフガードにみるロボット三原則という話をしてみた。駆除系は確かに原則に従っているように見える。しかし、ドモチェフスキー達はどうだろうか、彼らは明らかに第三条の自己保存を優先して活動している。非公式超構造体からの珪素生物の排除は、自分達が生き残るという最低限度の条件をクリアした後に取り組んでいるようだ。

□ 柔軟な思考と行動

セーフガードシステムは免疫系に似ている。言ってみればドモチェフスキーやイコは白血球などに近い存在だ。

それは、より大きな全体の為に最初から犠牲になることが期待されている立場である。しかし彼らは生存の為に、珪素生物から逃げるという手段すらとる。

闇雲に特攻するのが愚か過ぎるのは分かる。ここで言いたいのは、臨時セーフガードに与えられた裁量の大きさだ。

非公式超構造体は、公式な存在を目指す。ドモチェフスキーとイコ等の臨時セーフガード自動生成もその一環だろう。珪素生物によって占拠されていては、公式超構造体になどなれるわけも無い。

何故二人が強硬な実力行使によって珪素生物を排除しないのか。恐らく彼らの実力ではどのような手段をもってしても非公式階層内の全ての珪素生物を排除することが不可能だからではないか。

それに、非公式超構造体はこれ以上珪素生物に対応する能力を失っている。ドモチェフスキーとイコがいなくなれば珪素生物の親玉であるダフィネルの計画を邪魔するものはいなくなってしまう。最悪の事態を避けるにはまずドモチェフスキー達が行動できる必要がある。そういった合理的な判断を下す能力と、それを行動に移せる決定権が彼らにはある。

ただの免疫システムには、そんな権限が与えられるとは思えない。ある日突然、自分の肉体が「全体的な状況を考慮して、この病原体への抵抗を一時中止する」なんて決断を下した日には、変な病気で凄いことになって死にそうです。

□ 保護対象は人間

イコによれば、臨時セーフガードはネット端末遺伝子有無に関係なく、人間は保護するという。

これは驚きだ。この発言から考えると、セーフガードにとって人間はネット端末遺伝子保有の有無によって 2 種類に区分けされている。もっと言えば、セーフガードにとってネット端末遺伝子非保持者も「人間」という分類だったのだ。

セーフガードはどう考えてみてもロボット集団である。それが、自分達のシステムに加入していないという理由で人間を殺害しつづけている。セーフガードは設立時点で何か大きな間違いを犯していないだろうか。あまりに強権的で理不尽な暴力だ。

ネットスフィア内の正規セーフガードが、臨時セーフガードのスキャン能力を信頼していないからだろうか。これは技術的な問題もさることながら、組織内政治も絡む話とも考えられる。

二人はあくまで "臨時" に過ぎない。その "臨時" に「ネット端末遺伝子有無の確認」という重要な作業をこなさせるのが嫌なのかもしれない。踊る大捜査線風に言えば「所轄に何ができるっていうんだ」といったところだ。

サナカンの言動から考えると、セーフガードにとって不法居住者は病原体のようなものだ。病原体の駆除という任務よりも、臨時セーフガードに権限を与えないことが重要らしい。

結果として BLAME! 世界では臨時セーフガードが一番まともに機能している。サナカンは二人を見習うように。

こういった臨時セーフガードが抱える、自由さと制約には彼らを理解する鍵が隠されているような気がする。


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